公立大学法人 奈良県立医科大学脳神経外科

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・赤ちゃんの頭のかたち外来

脳神経外科医が診る、赤ちゃんの頭のかたち外来

位置的頭蓋変形に対するヘルメット矯正がマスメディアに取り上げられ、相談や治療を希望されるご両親からの問い合わせが増加しています。
「頭のゆがみ」には頭の骨の病気が隠れているケースもあり、奈良県においても頭の骨と脳を専門とする脳神経外科医によりヘルメット矯正を提供できる診療体制の構築が必要と考え、2024年9月より「脳神経外科医が診る、赤ちゃんの頭のかたち外来」を開設いたしました。
当外来では脳神経外科として「病気としての頭のゆがみ」が隠れていないかしっかりと診察を行います。

主に向きぐせによるゆがみである「位置的頭蓋変形」だった場合には、ヘルメット矯正の必要性についても十分に説明した上で対応いたします。

<受診についてのご案内>

・かかりつけのクリニックにて、「紹介状」を記載してもらってください。
※紹介状がない場合、選定療養費として税込7,700円の自己負担が発生します。
・初診は毎月第1金曜日の13時~17時にて受け付けております。
・ご予約・ご不明点は下記までお問い合わせください。
電話番号:0744-22-3051 内線3320 又は 3321(脳神経外科外来)
電話受付時間:月曜日から金曜日(ただし休日を除く)、13~16時

位置的頭蓋変形か、頭の骨の病気による頭蓋変形である頭蓋骨縫合早期癒合症か、の鑑別診断はとても大切です。月齢(年齢)によらず診断いたします。向きぐせによるゆがみである「位置的頭蓋変形」へのヘルメット矯正は一般的には3~6ヶ月で開始することが最も適していると言われています。

※いままでの報告では生後7ヶ月以降ではヘルメットによる矯正効果が下がると言われています。
※お一人お一人の赤ちゃんに対するオーダーメイドの為、初診からヘルメット装着開始まで、約2~4週間かかります。

赤ちゃんの頭のゆがみについて

赤ちゃんの頭がゆがむ原因は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、「向きぐせ」によるもの(位置的頭蓋変形)で、位置的斜頭や絶壁頭、縦長頭があります。
位置的頭蓋変形は、基本的には病気ではないため手術は行わず、ヘルメット矯正によって頭のかたちを整えます。
※位置的頭蓋変形は成長発達に影響しません。また、ヘルメット矯正は発達の遅れを予防したり治療したりするものではありません。

もうひとつは、「頭の骨の病気」による頭蓋骨縫合早期癒合症と呼ばれるもので、生まれてから数か月から数年の間気付かれずに成長する場合があります。頭蓋骨縫合早期癒合症は、多くのお子さんで発達に影響することがありますので、手術治療を行います。
まずは赤ちゃんの頭のかたちのゆがみが、病気によるものか、それとも病気でないものかを適正な頭蓋健診を受けることがとても重要です。

位置的頭蓋変形について

位置的頭蓋変形は子宮内やお産時に頭が変形してしまったり、向きぐせなどにより圧力によって頭がゆがんでしまうことをさします。
位置的頭蓋変形のゆがみについては形に応じて「位置的斜頭」「絶壁頭」「縦長頭」があります。

位置的斜頭

位置的斜頭(いちてきしゃとう)は、後頭部が斜めにゆがんでしまい、左右非対称になっています。主な原因は、向きぐせや胎児期の子宮内環境による後頭部への圧力とされています。
ゆがみが進行すると耳の位置や顔面が左右非対称になってしまうこともあります。そのような場合には、矯正をして頭の形を整えることが望ましい場合もあります。

絶壁頭

絶壁頭(ぜっぺきあたま)は、後頭部が丸くならず平坦になっています。
主な原因は、赤ちゃんが仰向けに寝ることで後頭部に圧力がかかることによるものとされています。

縦長頭

縦長頭(たてながあたま)は、頭のかたちが前後に長くなっています。赤ちゃんを横向きに寝かせることで頭のかたちが変形し、縦に長くなってしまうことがあります。新生児集中治療室(NICU)に入っている赤ちゃんは処置がしやすいよう横向きに寝かされることが多く、頭のかたちにゆがみが起き縦長頭になることもあるようです。

頭のゆがみの予防方法

赤ちゃんの頭のゆがみ度合いを大きくしないために家庭でできる予防方法もあります。

寝かせる位置の工夫

寝ている赤ちゃんに同じ方向を向かせないことで、片方の後頭部に圧が長時間かかることなく、変形もしにくくなります。
例えば
・授乳のたびに頭と足の位置を交互に入れ替えて寝かせる
・両親が話しかける方向を変える
まずは、寝ている赤ちゃんの顔の向きを観察してみましょう。

タミータイム

タミータイムは首座りの練習やうつ伏せ練習の方法として用いられますが、頭のゆがみを予防する方法としても有効です。うつ伏せになることで頭にかかる圧力を防げます。id=”E812″>分娩施設から自宅に戻ったら、5分くらいからはじめてください。
保護者の監視下でおむつ替えの直後や、目が覚めた後に行いましょう。
※ 顔を動かすことのできない時期のうつ伏せ寝は窒息の恐れがありますので注意が必要です。寝かせる際は仰向け寝にしましょう。

ヘルメット矯正

頭のゆがみが重度の場合は自然な形に戻るのが難しく、頭蓋矯正ヘルメットを使用して形を整えることが望ましい場合があります。

ヘルメット矯正とは

生後3~6ヶ月に開始されることをお勧めします。装着期間には個人差がありますが、1歳頃に卒業となります。

ヘルメット矯正で重要なこと

矯正では「装着開始後のサポート」が重要になります。赤ちゃん一人ひとりの成長や治療の進捗を見極め、適正なメンテナンスを施すために、経験豊富な医師とメーカーの協同が不可欠です。メーカーの豊富なノウハウやデータにより、正確な診療を実現しています。

頭蓋矯正ヘルメット

当院ではジャパン・メディカル・カンパニーの日本製ヘルメットを用いてヘルメット治療を行います。
3Dプリンタによる、強度と軽さを両立したヘルメットは、赤ちゃん一人ひとりに合わせた完全オーダーメイドで、日本人の骨格や、高温多湿な日本の気候を踏まえて設計されています。累計の治療数15,000症例を誇るジャパン・メディカル・カンパニーのスタッフが常駐し、安心安全の医療サービスの提供をしています。

Qurum Fit(クルムフィット)

強度がありながらも非常に軽く、首が座っていない低月齢の赤ちゃんから装着できます。
ヘルメット本体はもちろん、クッションの水洗いも可能で清潔な状態を保てます。

費用について

ヘルメット矯正は自費診療になります。※当院のヘルメットは医療費控除の対象となります。
ヘルメット作成料:55万円(税込)

ヘルメット矯正の流れ

当院で行うヘルメット矯正の流れになります。

・Step1 レントゲン検査をする
レントゲン撮影により、病的な頭蓋変形(頭蓋骨縫合早期癒合症)でないかを確認します。

・Step2 適応診断をする
診察では、視診・触診を通して、変形の診断と重症度(レベル1~4)を判定し、診察時の月齢を考慮した上でヘルメット矯正の適応を判断
します。

・Step3 ヘルメットをつくる

3Dスキャナー撮影データをもとに、現在の変形した形から、矯正後の最終的な頭の形を想定したオーダーメイドのヘルメットを作成します。

・Step4 装着スタート

治療申し込み時から2~4週間でヘルメット装着開始。基本的には入浴以外の1日23時間、6ヶ月前後の装着を推奨しています(個人によって期間が異なります)。

・Step5 定期的な診察

約4週間ごとに診察、装着から2ヶ月、卒業時に3Dスキャン検査を行い、ヘルメットの装着状況や矯正による頭蓋変形を確認し、また頭の成長や矯正された改善度に合わせてヘルメットの再調整を行います。

・Step6 矯正終了

矯正終了時期は、矯正された頭蓋変形の改善度、頭蓋成長の度合い、矯正に必要な装着時間の確保の有無などを基に、専門医が判断します。

ヘルメット矯正 効果例

月齢が早く、装着時間も長くつけることができるとかなり改善効果が期待できます。
※ 開始した月齢や、装着時間、成長の速度によって個人差があります

<診療受付>

初診:毎月第1金曜日 13時~17時(完全予約制)
再診:毎月第2・第4水曜日 13時~17時(完全予約制)

ご予約・ご不明点は下記までお問い合わせください。
電話番号:0744-22-3051 内線3320 又は 3321(脳神経外科外来)
電話受付時間:月曜日から金曜日(ただし休日を除く)、13~16時

 

<診察担当医師の紹介>

金 泰均 (きむ てきゅん)
奈良県立医科大学脳神経外科 助教
平成23年3月 奈良県立医科大学医学部卒業
令和2年3月 奈良県立医科大学大学院 医学博士課程修了
資格等:日本脳神経外科学会専門医、日本小児神経外科学会認定医、日本脳神経外科内視鏡学会技術認定医
朴 永銖 (ぼく えいしゅ)
奈良県立医科大学付属病院 病院教授
奈良県立医科大学脳神経外科 准教授
平成2年 奈良県立医科大学卒業
日本脳神経外科学会 代議員、評議員/日本小児神経外科学会 理事、評議員/日本脳神経外傷学会 理事、学術評議員/日本こども病院神経外科医会 世話人/小児脳損傷研究会 世話人(代表)/小児脳腫瘍カンファレンス 世話人/日本二分脊椎症研究会 世話人/日本水頭症脳脊髄液学会 理事/近畿小児血液がん研究会 世話人/近畿脊髄外科学会 世話人/小児脳損傷研究会 世話人(代表)日本脳神経外科学会専門医・指導医/日本小児神経外科学会認定医/日本脳卒中学会専門医・指導医/日本脊髄外科学会認定医/脊椎脊髄外科専門医/日本神経内視鏡学会技術認定医/日本脳卒中の外科学会技術指導医/日本脳神経外傷学会認定指導医
The Best Doctors in Japan 2022-2023,2023-2024
朴医師の頭蓋骨縫合早期癒合症に対する手術治療に関する論文です。

赤ちゃんの頭のかたち相談室

ヘルメット矯正について相談したい方は、親御さんから累計16,000件以上(*2024年7月時点)のお問い合わせ実績を持つ「赤ちゃんの頭のかたち相談室」に無料でご相談いただけます。この相談室は当院が導入しているヘルメット「Qurum Fit」のメーカーが運営しています。(上記画像をクリックしてください。)

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