下垂体腫瘍専門外来

「下垂体腫瘍が見つかった患者さんへ」

Q1.下垂体腫瘍とは?

下垂体という脳の中心部に位置するホルモンを分泌する臓器から発生する下垂体腺腫が最も典型的な下垂体腫瘍であります。通常下垂体は、頭蓋底のトルコ鞍という球状のお椀状の骨の中におさまっていますが、腫瘍が発育するといろいろな方向に発育し、周囲の重要な神経や血管に影響を及ぼします。他に、発生母地が鞍上部の頭蓋咽頭腫も下方に発育すると下垂体部にも影響を与えることがあります。また髄膜腫、リンパ腫、転移性癌などが下垂体部に発生する場合もあります。稀に腫瘍ではなく、炎症性疾患が生じる場合もあります。非腫瘍性病変として、ラトケ嚢胞という嚢胞状の病態もあり得ます。

Q2.下垂体腫瘍の症状は?

下垂体腫瘍が上方へ発育すると視交叉が圧迫され両耳側半盲が出現します。つまり眼が見えにくくなります。側方へ発育すると動眼神経や外転神経が圧迫されて眼球運動障害や眼瞼下垂が生じます。また正常下垂体が腫瘍により圧迫され、ホルモンの分泌バランスが崩れてくることがあります。特定のホルモンが過剰に分泌される場合は、そのホルモンの過剰作用により様々な体調の変化が生じてきます。逆にホルモンの分泌機能が低下してくると全身倦怠感や疲れやすいなどの症状が出現することがあります。

Q3. 下垂体腫瘍は自然に良くなる?

良性腫瘍ですので、基本的には、ゆっくりと増大していく傾向にあります。稀にラトケ嚢胞で自然に退縮することがありますが、それ以外の下垂体腫瘍では概ね増大することが多く、自然に良くなることはありません。患者さんによって、増大速度はさまざまであります。時に、腫瘍内で梗塞や出血を起こして急激に圧が上昇し、眼がみえにくくなったり、物が2重に見えたり、まぶたが落ちてきた。

Q4. 下垂体腫瘍の治療はどのようなものがあるか?

基本的には手術による病変摘出と周囲神経血管等への圧迫解放が必要となります。これにより病理診断をつけ、その後の治療内容をさらに検討していくことになります。 主に手術方法としては、経鼻内視鏡的な手術があります。昔は顕微鏡手術を行っていましたが、近年内視鏡の発達により顕微鏡よりも広い範囲で観察することが可能となってきています。 提示写真は、ロボットのようなアームにハイビジョン型内視鏡カメラを装着したもので、当院で使用している機材になります。非常に大きな腫瘍の場合は、開頭術と組み合わせて腫瘍を摘出する場合もあります。

プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)産生性下垂体腺腫の場合は、カバサールという内服薬で治療を行う事が増えてきています。ただし、病状によっては外科的に摘出する事が望ましい場合もあり、当科では、両方の治療の利点欠点を説明の上、慎重に対応させていただいております。

手術治療が無事終わり、病理診断がついた後、将来的に腫瘍が再発あるいは再増大する場合があります。この場合は、腫瘍の体積や部位にもよりますが、放射線治療が選択され、腫瘍増大をコントロールするように努めます。ただし、放射線治療を受けても病態によっては、腫瘍が増大する場合があり、この場合は、再度手術が必要となることもあり得ます。

Q5. 手術合併症は?

手術に伴う合併症としては、出血、梗塞、脳腫脹、視機能の悪化、眼球運動障害、下垂体機能低下症など様々な合併症が生じる可能性があります。神経内視鏡、手術ナビゲーションや脳神経モニタリングを駆使しながら合併症を出さないように細心の注意を最大限払って治療を受けていただけるように努めています。

〜最後に〜

下垂体腫瘍が見つかった患者さんにとっては、様々な症状や不安があると思います。患者さんの訴えによく耳を傾け、病気だけでなく不安も取り除けるように日々努めたいと考えています。

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